陽だまりの午後 ~れおん・マロン・ポン太 ある1日のお話~
『お手伝いって何だよ?』

不思議そうにイチローが尋ねてくる。

『内緒さ。ボクだけの特権なんだ。』

『へー』

わかったのかわからなかったのか、イチローは曖昧な返事をしてくる。

『じゃ、ボクはもう行くよ。』

そう言って、ボクは立ち上がって前脚を出して歩きだした。

『待って、あたしも行くわ』

マリネが後からついてくる。

おばあさんの家は、いつものお店から少し行ったすぐ曲がり角にあった。

『おばあさん、今日も元気かな?』

マリネが幸せそうな声を出した。

『心配はないよ。ほら、今日もあそこにいるよ。』

見れば、玄関の横にある部屋の軒下で、少しほほえみながら、おばあさんがじっと座っている。

< 3 / 55 >

この作品をシェア

pagetop