陽だまりの午後 ~れおん・マロン・ポン太 ある1日のお話~
『カイトにとっての大切な人は?』
アタシは、珍しくそんな自分らしくない質問をしてみた。
カイトはフフッと笑って答えた。
『オレにはいないよ、そんな人。人でしょ?違うんだよね。オレには同じ仲間がいるんだよ。その中の大切な仲間・・・そうだね、いろいろいるけど、同じ気持ちを持ってる仲間は確かにいるかもね』
カイトはよく笑う。
微笑んでみたり、楽しいままに笑ってみたり。
それが少し印象的だった。
『アタシは・・・人しか見てない。寂しいけど、でも家族がいるからまだそんなこともないかもしれない』
アタシは少し寂しく笑った。
カイトの羽根が少し風になびいた。
やわらかな風がアタシたちを包み込む。
もうすぐ、季節は夏になる。
『大丈夫だよ。オレがいるよ』
カイトはそんなことを言いながら、少し羽根を整えて空を仰いだ。
『もうすぐ日が暮れるね。そろそろ帰ろうか』