陽だまりの午後 ~れおん・マロン・ポン太 ある1日のお話~


―――♪~♪~。

いつも聞き慣れた着信音が鳴り響く。

―――♪~♪~♪~。

―――佑衣、ケータイ鳴ってるよ。

佑衣が別に慌てる様子もなく、バスルームから出てきた。

『誰だろ』

ピンク色のケータイをバッグから取り出すと、佑衣は画面を開いた。

いつもながらにして佑衣を眺めてみると、その行動とする意図がわからなくなる瞬間があったりする。

笑顔で応対する佑衣を見るのも、いつもの日常であるといえる。

だけど、本当の意味で佑衣がありふれた人ではないように思えるのは、その人を見ている今をちゃんと感じていけているからなんじゃないのかなと、ふと思えたりする。

―――佑衣、だよね・・・確かに。

ごくありふれた生活の中での、ふとした瞬間に思えた今の感覚。

それが、今というものだよね。

『ホント?じゃあ、明日ちょっと行ってみる?・・・じゃ、また明日連絡するよ。うん、じゃね』

ケータイを閉じた瞬間、佑衣が心持ち嬉しそうな素振りでオレに話をもちかける。

『明日、暇だからちょっとドライブでも行ってみよっか』


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