陽だまりの午後 ~れおん・マロン・ポン太 ある1日のお話~
―――佑衣こそ。まだ6時だよ。
佑衣がカーテンを颯爽と開いた。
明るい陽射しが部屋に差し込んだ。
朝の空気が一番好きかもしれない。
夜は少し悲しさを覚えてしまう。
そこに佑衣のある生活があまりなかったりするから。
佑衣があってのオレだったりするのかもしれないよね。
『お弁当作らなきゃ。ポン太、ご飯はちょっと待ってね』
―――・・・まあいいよ。でも、早くしてね。
そんなにお腹が空いてるのかって?
うん、めちゃくちゃ空いてる。
でも、オレは待つよ。
っていうか、この出窓から見える景色に、何か微妙な静けさを感じてしまうんだけど。
この時間帯は、もしかしたら一番オレにとってありふれていない時間なのかもしれない。
道行く人を、いつも眺め見る毎日。
それを当たり前のように眺めていた。
それがいつもの日常だといえるなら、こんな閑散とした風景でさえもその日常だっていえるのかな。
それを考えると、少し物想いにふけってしまえるかもしれない。
こんな自分が、実は少しいい具合に思えていたりもするんだけど。
『ちょっと遠出しようか?持っていく物、いっぱいあるね』
少し嬉しそうに、佑衣が微笑んだ。