陽だまりの午後 ~れおん・マロン・ポン太 ある1日のお話~
―――佑衣、今日も元気?
いつも、そんな毎日を繰り返す朝だったように思う。
『いってきます、いい子でいてね』
―――いってらっしゃい。
送り出すのは、いつも玄関だった。
佑衣の姿がドアの向こうに消えると、なぜか少し寂しさを感じた。
いつもの日常。
いつもの生活。
いつものありふれた場面。
いつもある光景。
見慣れた光景こそが、実はオレにとっての本当の居場所だった。
だから、言えたのかもしれない。
―――・・・今日も生きてるよね、オレ。
いつも、感じていたことだった。
たとえば、佑衣といる週末であったり。
何気ない日曜日のささやかな幸せ。
いつもこの場所に居られるという喜び。
佑衣のいる風景。
それらがすべての幸せであるように、オレが生きていくことへの喜びがここにあったのかもしれない。
―――佑衣、今日は何する?
いつもの問いかけに、佑衣はいつも微笑むんだよね。
『そこまで散歩でも行こうか?ちょっと待ってて』
―――いいよ。でも、できるだけ早くね。