不機嫌な彼
「ゆきーーッ山田クン辞書持ってるってー」
「…わッわかったー」
先輩と挨拶している後ろから
友達が叫んでいた
「…辞書?」
「え…あ、はいッ辞書忘れちゃったんです」
あたしはその『山田クン』に
辞書を借りようとしよう
「…あ、じゃあ先輩、さよならッ」
そういって、振り返りまたもときた
道を戻ろうとした
「…え?」
進まないし
左手に違和感があった
「…先輩?」
先輩の手の感触が腕に伝わった