不機嫌な彼



「…あの…?」




先輩の黒い瞳にはあたしがうつっていた





「…ん」




「え?」




「貸す」





先輩があたしの腕を離し

逆のほうにもっていた分厚い本を差し出した





「これ…次の授業で使うんじゃ…「使わない」」





あたしの手に先輩の辞書がのった






「…いいんですか…?」





「ん」






そういうともう先輩の背中しかみえなくなった





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