不機嫌な彼
「…せんぱい…
…離してくださいッ」
自分でも声が震えているのがわかった
…先輩がわからないよ
「せんぱ…んんんッッ」
…一瞬…なにがなんだかわからなかった
「んぁ…んッッ…ふぅ…んッ」
息つく間もなく先輩の唇が
あたしの唇から離れなかった
「せ…んんッぱッッンッー」
本当に何がなんだかわからなかった
先輩のどこまでも黒い瞳
真っ黒い髪があたしの頬を何度もかする
先輩の腕はあたしの手を捕らえたまま
「…んッ…やぁ…ッッ」
嫌だと言っても先輩には聞こえない
どんどんと深くなるばかり
あたしの頬に涙がつたった