不機嫌な彼
あたしの体の力が抜けて
先輩の腕が離れたとき
あたしが床にぺたりと落ちた
そして先輩が
「ごめん」
といい、振り返らずに廊下を歩いていった
「…ん…うぅ…」
涙が止まらなかった
…先輩…
先輩がわからないよ…
…怖かった…
先輩が…怖かった…
さっきまで触れていた唇も腕も
もう冷たくて自分のじゃないみたいだった
さっきのは夢?嘘?
…怖かった先輩は幻?
あたしは冷たい床から
止まらない涙とともに
立ち上がることができないでいた