A+α
「母さん…」
「あんた、それ同意の上なんでしょうね?」
視線が腕の中の琴菜に注がれる。
「こんな時になに言ってんだよ…」
「冗談はさておきどうしたの?本当は何があったの?琴菜ちゃん…」
涙の痕を見て菜月は顔を歪めた。
「まだわからない。取り敢えずもう一度寝かせようと思って…」
「そうね。琴菜ちゃんのぶんのご飯冷蔵庫に入れとく。アンタは落ち着いたら食べに降りて来なさい」
「うん。あと、怪我無いって言ってるけど明日見てやって」
「わかった。夏香には連絡しとくから、……なんとかしてあげて」
「わかってる。紫苑と玲音は?」
「テレビ見てる。アニメに夢中」
それを言うと静かに階段を降りて行った。
しかしまぁ、ここまで安心しきって寝られるとは…。
「俺も男なんだけどなぁ……」
誰に聞かれることもなく消えていった。