王国ファンタジア【流浪の民】
「じっ実はライジさんが大怪我しちゃったから、次に強いひーくんが代わりに来たんだよ! ねっひーくん」

「お、おう……そうなんだよ」

 俺の方が強いのに……ヒイロウは思いながらキクの話に合わせた。

「なるほど」

 ベリルはクスッと笑った。

「でっでも、ひーくんが剣魂(ケンダマ)の民だってよく解ったね」

 誤魔化すようにキクが別の話題を振る。

 それに、ベリルはヒイロウの頭に乗っかるうずらの背中を軽くなでながら、

「その刀と姿を見れば解る」

 背中に背負われた、少年の身長ほどもある大剣に目を向けた。

「おう! 父ちゃんの刀、覇桜丸(ハオウマル)だぜ」

 ヒイロウは誇らしげに背中をずいと示した。金の鍔(つば)、桜の透かし彫りには真紅の石がはまっている。

「なかなか良い刀だ」
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