王国ファンタジア【流浪の民】
「名は?」
「私は波旬(はじゅん)魔族だ」
「邪鬼だ。私は魔族じゃないぞ」

 少女はふてくされるように名乗った。

「ベリルだ。ここにいるという事は、少なからずドラゴンに関係のある者かね?」

 その問いかけに、波旬と名乗った青年は少し沈黙した。

「ドラゴンは魔界にも侵攻してくる」
「! 人間界で倒せば。という腹づもりか」

 聞いたベリルは、一度窓に目をやり波旬に目を移す。

「期待はずれで申し訳ないが。今回のドラゴン、お前たちの考えているようなモノではないよ」

「なんだと!?」
「それはどういう意味だっ」

 波旬と邪鬼は同時に声を張り上げた。

「そのドラゴンについて、もう少し詳しく聞かせて欲しい」

 2人の驚きにも動じず、ベリルは淡々と問いかける。

「龍使いの命でドラゴンは魔界を攻めるのだ」

 ベリルはそれに薄笑いを返した。
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