王国ファンタジア【流浪の民】
「やはり。今、脅威となっているドラゴン。龍使いなどに操られてはおらんよ」

「なんだ……と?」

「ドラゴンは多種多様だ。今回のドラゴン、そういった類(たぐい)の存在ではない」

「……」

 断言するような言葉に、波旬はベリルをじっと見つめた。

「どうして、そうだと解る」

 ベリルは肩をすくめて、

「私が調べて、大体の見当がついている」

「なるほど。人間ごときが理解出来る相手だという事か」

「あまり、人間をなめないで頂きたい」
「!」

 初めて、ベリルの目に怒りが宿った。

「人間のくせに生意気だな」

 邪鬼が鼻を鳴らしてベリルに言い捨てる。ベリルは少女の言葉に目を据わらせて薄笑いを浮かべた。

「その考えが浅はかだとは思わんのか?」
「……」
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