王国ファンタジア【流浪の民】
「……」

 少年の手には、いつの間にか血色の大鎌が握られていた。

「! ほう」

 ベリルはそれに感心しながら、自身の持つ剣を抜いた。

 淡いブルーのグラディウス。その不思議な輝きに、キルテの血の色が映される。

 1発でへし折ってやる。

「……っ」

 キルテは素早く駆け寄り、大鎌を振りかざした。

“ガキン!”

 鈍い音がして、風が2人の周りを舞った。

「!?」

 受け止めた? そんな馬鹿な。

「筋は良い」
「! エラそうにっ」

 相手の剣を振り払うように大きく引く。

 次で終わりだ! ダン! と、キルテは大きく飛び上がった。
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