王国ファンタジア【流浪の民】
「ハッ! キルだめだっ」

 その攻撃では勝てない! エークは、ゆっくり構えているベリルに気が付いた。

 互いの刃がぶつかり、ドン! と地面が揺れてベリルの周り数メートルが陥没した。

 しかしそれでも……

「! また受け止めたっ!?」

 何故だ……何故、倒れない。だったら!

 キルテは数歩、後ずさり鎌を下げてベリルを見据える。そして、

「辻風(つじかぜ)……」

 その言葉のあとに、キルテは目を見開いた。

「馬鹿な!」

 オレの『風』がきかない!?

「……」

 ベリルの周りに風が舞い、金の髪を揺らしていた。
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