王国ファンタジア【流浪の民】
「やはり……キルの力は受け流されている」

 ベリルは、目を丸くしているキルテに口の端をつり上げる。

「なんでもかんでも押せばいいというものではない」

「!」

 ベリルが剣を振ると、風はフウっと消え去った。

「そんな……」
「キル、もうやめろ」

 エークが駆け寄った。それを確認したベリルは剣を鞘に収める。

「……」

 キルテも腹立たしげに大鎌を“仕舞った”。

「やはり。あの話は本当だったんだな」
「あの話ってなんだよ」

 エークに目も向けず問いかけた。

「流浪の民は気の流れを読むって聞いた事があるんだ」

「それが何だっていうんだ?」

「流れを読む。という事は、受け流す術(すべ)も持つという事だよ」

 ベリルは柔らかな笑顔で説明した。
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