王国ファンタジア【流浪の民】
「私にはお前ほどの力は無い。だが、それを外に流す術を持っている」

 いかに強い力といえど、当たらなければ意味がない。

「処で……」

 ベリルは険しい眼差しからキョトンとした顔になり、

「どうも私は憎まれているようだが。何かしたかね?」

「あ~キルの髪を見たからですよ」
「! ちょっ何言ってんだよ」
「ああ、なるほど」

 見透かしたような声を上げる。

「良い髪だと思うが」
「!」

 何も知らないくせに! この髪のせいで親に捨てられて……

「もっと、誇りを持ったらどうだね?」
「なんだよそれっ」

「どんな過去があろうと、己に誇りを持つ事は良い事だと思うぞ」

「……」

 こいつ、適当に言ってんじゃ……ないよな?

 よく通る声にジジ臭い口調。妙に胸に響く。
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