王国ファンタジア【流浪の民】
 溜息を吐き出しながら地面に降りる。

「ドラゴンに利いてないようだが……」

 サレンスが様子を見て言った。それに、ベリルは口の端をつり上げる。

「『避雷針』を作っただけだ」
「!」

 その言葉で、サレンスはすぐに理解した。

「セシエル。ワイバーンに乗れ」
「ええっ!? あれにっ?」
[心配いらん。私が制御している]

 ベリルはセシエルに手を出す。

「ミスリルのボルトを」
「!」

 セシエルは、ミスリルで出来たボルト(クロスボウの矢)の入った矢筒をベリルに手渡した。

「……」

 ベリルが小さくつぶやくと、ボルトは青い光を帯びる。

「お前は尾を狙え。パンパス!」
「!」

 セシエルに矢筒を返しながらパンパスを呼ぶ。呼ばれたパンパスが駆け寄った。

「弓を」
「? 何をするんだ?」
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