王国ファンタジア【流浪の民】
 渡された弓を見つめてしばらくすると、弓が微妙な光を発し始めた。

「お前は翼の付け根を頼む」

 ヤツの動きを鈍らせる。言いながら、ベリルはパンパスにワイバーンに乗れと示した。

「! 解った」

 パンパスはワイバーンに向かって走る。

「私は何をすればいいのかな?」

 サレンスが問いかける。ベリルは彼を横目で見やり、静かに発した。

「ヤツのブレスを頼みたい」
「どうするのだ?」

 ドラゴンを見上げたベリルは目を細める。

「ヤツのブレスの温度を下げてくれ。常に吐き出す動作に注意せねばならないが」

「解った」

 ベリルが次の指示を出そうとした刹那──

{この地虫めがっ!}

 低い声が辺りに響き渡った。
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