王国ファンタジア【流浪の民】
「「!?」」

 そこにいた全員が、ベリルを凝視した。

「……」

 ベリルはただ、静かにドラゴンを見つめている。

{ク、ククク}

 赤いドラゴンが喉の奥から絞り出すような笑いをこぼす。

 そして、ゆっくりとベリルに顔を向けて見下ろすと、

{きさまたちは、土くれの命令を聞くつもりか?}

「なあキク、“かいらい”ってなんだ?」
「人形の事だよひーくん」

「傀儡?」

 ドラゴンの言葉に、グレードは眉をひそめる。

{そやつは人などではない。人が造り上げた土くれ。ホムンクルスと呼ばれるものだ}

 のそりと体を揺らした。

「馬鹿な! そんな事、あり得ないっ!」

 そんなドラゴンの言葉を、グレードは声を荒げて否定した。

「どうしてあり得ないんだ?」

 ドルメックが問いかけると、グレードは苦い顔をした。
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