王国ファンタジア【流浪の民】

その先にあるもの

「キルテはどこだ」
「あそこではないかな?]

 ヴァラオムが鼻先をクイと向ける。銀色の髪が揺れている小さな影。

 ヴァラオムはその輝きに向かって飛んだ。

「キル、大きいね~ドラゴン」
「言ってる場合か!?」

 赤い大鎌を構えるキルテだが、どう戦っていいものやら考えあぐねていた。

「キルテ!」

 ベリルの声に振り返る。ヴァラオムから飛び降り、少年に駆け寄った。

「何する気だ」

 ベリルはキルテに向かって右手のひらを見せ目を閉じる。

「!」

 鎌が淡い金色(こんじき)の光を宿した。キルテ自身に魔法を乗せたのだ。

「それは太陽の輝き。ヤツのウロコを引き裂くだろう。他の兵士同様、足を狙ってくれ。動かれると厄介だからな」

「みんながみんな、お前の言う事を聞くと思うなよな」
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