王国ファンタジア【流浪の民】
 まだ地にいたベリルは、その炎を見据えると剣を縦に構える。

“バシャアァ!”

 炎はすさまじい音と共に、剣からまっぷたつに別れた。

「! ほう……」

 ベリルは感歎の声をあげる。

[ただあまり強い力を受け止めると少々、体力を奪われてしまうが]

「早く言え!」

 片膝を付いたベリルが、剣を支えにヴァラオムに声を張り上げた。

 巨大なドラゴンはベリルを強い憎しみと共に睨み付ける。

{土くれの分際で……我に刃向かうなどと}
「元の世界に還るがいい」

 その言葉に、ドラゴンは空をも震わせる雄叫びを上げる。

「う……」
「うぅ……」

 兵士たちの心に、再び恐怖が押し寄せた。

 だが──
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