王国ファンタジア【流浪の民】
“コンコンコン”

「はいーどうぞ」

 ドアの向こうから声がかけられる。セシエルの声だ。

「!」

 開くと、ミントティーの香りが鼻を刺激した。

「あ、おはよ~」
「おはよう。ベリルは?」

 部屋を見回す。

「ああ今、着替えてるから。もう少ししたら来るよ」

 テーブルの上にドルメックの分のカップが置かれる。

 イスに座りカップを手に取る。

「ドルメック」
「!」

 寝室の方から声がした。ゆっくりと歩いてくるベリルが、彼の前に止まると小さな革袋を差し出す。

「……」

 今度はなんだ? ドルメックはいぶかしげにそれを受け取り、中身を確認した。

「!?」
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