王国ファンタジア【流浪の民】
“ガタン!”

 ドルメックは入っていたものに驚いて、思わず立ち上がった。

「……っどうして」

 それは『民の雫』……しかも3つ。

「気にするな」
「言われても気になるだろうっ!?」

 笑っているベリルの顔を見つめる。

「偶然、手に入れたんだよ」

 違和感のある言い方だ。

 3つ……この数は……彼の脳裏に昨日の事が浮かぶ。

 ドルメックを縛り付けるため、民の雫を手元に残した数と同じ。

「また、俺の代わりに取り返してくれたのか」

「これから少し出かける。セシエルに付き合ってやってくれ」

 言って、ベリルは部屋から出て行った。

「……」

 閉じられたドアを見つめ、核石に目を移す。

「……ドルメック」
「!」
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