王国ファンタジア【流浪の民】
「でも、なんだって今更あんたを?」
「成功していないのだよ」

 私以外は後にも先にもね。ベリルは淡々と話す。

「彼らが求めたものは強い兵士たちだ。決して、ひるむ事の無い兵士」

「そんなものを造って、周りの国に戦争でも仕掛けようってのか?」

 ドルメックが眉間にしわを寄せた。

「そうかもしれんな」

 苦笑いでベリルは応える。

「で、君を再び取り込み研究しようとした訳だな」と、サレンス。

「そんな事、許せません! ドラゴン討伐に貢献した人なんですよ!? それを……」

「彼らにとっては別の話なのだろう。そもそも、彼を人として見ているのかと訊いてみたいがね」

 サレンスの言葉に、ドルメックたちは静まりかえった。

「人として……扱ってない……?」

 ドルメックの遠い過去の記憶が、胸の痛みを呼び覚ます。

 宝玉の民の命そのものである核石。それを得るために、仲間たちは生きながらにむしり取られ……

「……」

 ドルメックはその怒りを抑え一度、深呼吸した。
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