王国ファンタジア【流浪の民】
 ベッドにセシエルと2人で壁に寄りかかっているドルメックは、その光景を静かに眺める。

「いつ出るのだね?」
「昼過ぎ」

 レインはクッキーを一口味わうと、無言でほおばった。

 むせてホットチョコミントの入ったカップに口をつける。

「!」

 飲んだ事の無い味に驚いたが、すぐにまた口に運んだ。

「まだある。遠慮するな」

 食べているレインを、ベリルはしばらく眺める。

 ひとしきり満足したレインは、そんなベリルに鋭い目を向けた。

「僕に何かさせたいのか?」

 その言葉に、ベリルはキョトンとして小さく吹き出した。

「ドルメックみたいな事を言う」
「えっ!?」

 突然、名指しされ焦るドルメック。

「何かの代償が無いと気が済まない」
「うっ」

 痛い処をつく……
< 236 / 246 >

この作品をシェア

pagetop