王国ファンタジア【流浪の民】
いくらベリルが皿の上のクッキーを食べたからって、彼自身が持ってきたクッキー。
毒の入っていないクッキーを手にする事も出来たのに。
激しい警戒心を持つレインにしては、いささか抜けている。
少年は、無意識に彼らを信用していた事に気付いていなかった。
彼が民の代表として討伐に参加した経緯……それを知る処ではないが、何か大きな理由があるに違いない。
それは決して、快いものではないはずだ。
彼が人に頼る者ではない事も解っている。
「じゃ、俺たちもそろそろ行くか」
「そうだな」
片付けを終えたベリルに、セシエルは立ち上がる。
「ベリル」
「ん?」
ドルメックは少しためらって、
「その……色々と面倒というか、世話をかけたな」
ベリルはその言葉に、柔らかな笑顔を見せる。
言葉はいらなかった。
毒の入っていないクッキーを手にする事も出来たのに。
激しい警戒心を持つレインにしては、いささか抜けている。
少年は、無意識に彼らを信用していた事に気付いていなかった。
彼が民の代表として討伐に参加した経緯……それを知る処ではないが、何か大きな理由があるに違いない。
それは決して、快いものではないはずだ。
彼が人に頼る者ではない事も解っている。
「じゃ、俺たちもそろそろ行くか」
「そうだな」
片付けを終えたベリルに、セシエルは立ち上がる。
「ベリル」
「ん?」
ドルメックは少しためらって、
「その……色々と面倒というか、世話をかけたな」
ベリルはその言葉に、柔らかな笑顔を見せる。
言葉はいらなかった。