王国ファンタジア【流浪の民】
「対抗する術(すべ)さえ持っていれば、魔法が強いとは思わんよ」

[対抗。おまえはその術を持っているのか]

 聞かれてベリルは、腰に下げている革の袋をヴァラオムに投げ渡した。

 大きな爪でそれを開く。

[! これは]

 中にはジェム(宝石)や指輪が入っていた。

 この輝き……

[マジックアイテムか。よくこれだけ]
「馴染みのメイジ(魔法使い)がいる」

 魔法使いは体力が無い。街から街への移動にも護衛がいた方が便利なのだ。

 偶然、出くわしたメイジに護衛を頼まれると彼は金か魔法のチャージ(補充)のいずれかを請求する。

[そうなれば普通、チャージを示すだろう]

 ヴァラオムは呆れて苦笑いした。

「こちらとしては、チャージの方が有り難いのだがね」

 しかし、いくらマジックアイテムを持っているとしても、使いどころを解っていなければ宝の持ち腐れだ。
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