王国ファンタジア【流浪の民】
 ベリルはそれをよく知っているという事になる。

 かなりの知識の持ち主だ。ヴァラオムはますます感心した。

[ふむ]

 ヴァラオムは袋を返し、ベリルを見つめた。

[おまえ、メイジの素質があるようだな]
「……」

 ベリルはそれに酒を傾けながら鼻で笑う。

 ヴァラオムは人差し指をぴょいと立てて、嬉しそうにベリルに言った。

[どうだおまえ、魔法を覚えてみないか?]
「何故だ?」

 ベリルは眉をひそめる。

[覚えておくに越したことはなかろう。戦い以外にも便利だぞ]

「……」

 それは、ベリルも以前から思っていた事だった。
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