王国ファンタジア【流浪の民】
[なに、礼はそこの酒で良い]

 ヴァラオムはベリルの横にある酒瓶を指さした。

「……」

 ベリルは眉間にしわを寄せる。集落に戻ったときに持ってきた酒だ。

 1本はすでにヴァラオムに飲み干され、残りは3本。

 ヴァラオムはこの酒を気に入ったらしい。

[どうせ目的のない旅だろう。ここで覚えて行くがいい]

「言ってくれる」

 ベリルは口の端をつり上げた。


 次の日から魔法の訓練が始まった。彼は筋が良く、ヴァラオムが教えた低レベルの魔法ならすぐに習得していった。

 対魔法の術を学ぶならば、まず魔法について知っていなければならない。

 ベリルはその考えから、元々魔法の知識を持っていた。
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