王国ファンタジア【流浪の民】

食堂にて

　各々で宿屋に泊まっていた戦士たちは、1つ処に集められそこで出発までを過ごす事となった。

　親睦（しんぼく）を深めさせよう。という処だろう。

　まとまらなければドラゴンには適わない。それをよく知る王都の者だから、なおさらまとまりを重要視するのだろうが。

　この連中をまとめるのは骨が折れるだろうな。と、ベリルは薄笑いで眺めた。

「ひゃ～……」

　セシエルはベリルと食堂に来たが、これだけ大勢の人間を見るのは初めてで呆然と眺めながら歩いていた。

「おい、おまえ」
「え？」

　ふと呼び止められる。振り返ると、そこにいたのは子ども。

「僕に飲み物を持ってこい」
「へ？」

　見ると、黒髪に両目に包帯を巻いた10歳ほどの少年だった。

「早く持ってこ……」

“ダン!!”

　少年の目の前に乱暴にコップが置かれた。ベリルが少年をギロリと睨み付け。

「これでいいかね？」
「……」

「彼は私の大切な友人だ。言葉遣いには気をつけていただこう」

「お、おい……ベリル」