王国ファンタジア【流浪の民】

街の風景

 まだ話したい者はいるが……少し、外の空気を吸うか。

 ベリルは食堂から外に出た。

「!」

 すると、荷車の上で何やら作業を行っている人物がいた。

「お?」

 その人物に近づこうとしたベリルの前に、荷車を引いた人影が行く手をさえぎった。

「ああ、悪い悪い」
「いや」

 そんなベリルの腰の剣に、荷車を引いている男は気が付く。

「あんた、討伐隊の人だな」
「ん? うむ、そうだが」

 それを聞いた男は荷車から手を離し握手を求めた。

「俺はテイシン。討伐隊の仲間だ」
「へ……?」

 一瞬、呆けた受け答えをしてしまったベリル。

 しかしすぐ立ち直り、握手に応えた。
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