王国ファンタジア【流浪の民】
「これに今、王都で開発してる武器を乗っけて走り回る作戦なのさ」

 それを聞いたベリルは感心したがすぐ、

「それならば、私が言うモノを運んで戦ってもらえないか?」

「え? どんなの?」

 ベリルよりやや背の高いテイシンは、彼に顔を近づけて説明に聞き入った。

「えっ!? それって……」

 青い目をぎょろつかせ、ベリルの言葉に驚く。

「どのみち武器を乗せて動くにしても、その武器を使う者が必要だろう」

「あ、それもそうか」

 引きながら攻撃って出来ないよな……そんな事、まったく考えてなかった。

「ドラゴンのいる場所までは荷物を積んでもらいたいが、戦闘に入ればよろしく頼む」

「おう! おやすいご用だ」

 無骨だが、愛想のいいテイシンにベリルは手を挙げて走り去る彼を笑顔で見送った。

 きっと彼は、街でも人気のある男だろう。お調子者の面はあるが、それが彼の魅力でもあるのだと、ベリルは小さな笑いをこぼした。
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