王国ファンタジア【流浪の民】
 渡したエメラルドと同じ瞳がドルメックを見つめる。

「それがあると、マジックアイテムの使い勝手が良かったのだが」

「え……?」

「アイテムに充てんされている魔法を、上手く引き出してくれていた」

「!」

 まさか……そんな事……仲間が、彼に協力していたって事なのか?

「核石を使ったりしてないだろうな」
「いいや」

 そうだ、使えるハズがない。民の雫と呼ばれる取り出された核石は、同じ宝玉の民にしか使えないのだから……何を訊いてるんだ俺は。

「それは特別なものだと感じたのでね」
「……」

 こいつ……使える気でいるのか? 『使えなかった』と、言わなかった。

 眉をひそめたドルメックに、ベリルはつぶやくように問いかけた。
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