王国ファンタジア【流浪の民】
「核石を使う気は無いのだろう?」
「当り前だ。仲間の命を使う訳無い」

「では、補助にだけはなってもらえ」
「何?」

 ベリルはドルメックの右目を示し、

「目は弱い。自分の核石を使うなら、目を守ってもらうといい。それならば負担はかからない」

「大きなお世話だ」
「私怨は何も生み出さないよ」

 言ったベリルにカチンときた。

“ガキン!”

「!」

 素早く抜いたナイフは、ベリルの短剣にぶつかっていた。

 俺の動きについてきたのか!?

 刃の向こうから覗く瞳にゾクリとする。

「憎しみは暗闇に囚われるだけだ。そんなものでドラゴンなど倒せはしない」

「うるさい! きさまに俺の何が解るっていうんだっ」

 交える刃を大きく振り払った。怒りに息があがる。
< 91 / 246 >

この作品をシェア

pagetop