王国ファンタジア【流浪の民】
“シュッ……コン!”

「?」

 聞き覚えのある音に、ベリルはそちらに足を向けた。

「!」

 見ると、1人の少年が壁に立てかけた板に向かって弓を引いている。

 しかし、その手には矢は無く……引かれた弓からは矢のあるように板に小さな跡が残っていた。

「……」

 ベリルは、それに目を細める。彼の周りに風が渦巻いている。草原を駆け抜ける民だな。

 リストにあった名前は、確かパンパスだったか。ゆっくりと近づく。

「!」

 ふと、彼の足下に何かの気配。噂に聞いた『風のピューマ』か?

…-!

 ピューマは、ベリルと目が合って驚いた。僕の姿は『草原の民』以外には見えないハズなのに!
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