王国ファンタジア【氷炎の民】
「ああ、レジアスの息子だ」
父の名を聞いて子どもは顔を上げた。
やわらかな青い瞳をした、かわいらしい子どもだった。
10になるか、ならずやというところだろう。
<氷炎の民>特有の髪色はしっかりと被った帽子に阻まれて判別できない。
「えと、はじめまして。お会いできて光栄です。レジィと呼んでください」
「へえ、しつけが行き届いていやがる。にしても、似てねえな」
「こいつはどっちかと言うと母親似だからな」
「だろうなあ。で、レジアスはどうした。元気にしてるのかい?」
「いや、もう二年前になるかな。亡くなったよ」
あっさりと告げられた言葉に主人は一瞬言葉を失った。
「……そ、そうかい、そりゃ、悪かったな。よし、元気を出せよ。坊主。おいちゃんのおごりだ」
どんとレジィの目の前におおきなマグカップがおかれる。
「あ、ありがとうございます」
礼を言いながらもレジィは視線をすばやくサレンスにむける。
彼がかすかに頷いたのを見て取って高椅子に座ろうとするが背が足りない。
すかさずサレンスが腕を伸ばして補助をする。
(おや?)
主人は片眉をあげる。
サレンスの動作があまりにさりげなくて、レジィ自身も手伝われたのに気づいてないようだった。
「いただきます」
おそるおそる両手に捧げ持つようにして口にする様子がかわいらしい。
「甘いです」
とたん紅潮したレジィの頬を見て取ってサレンスが、主人に声を掛ける。
「おい」
「だいじょうぶだ、火炎酒は少ししか入れてない」
彼がそういったとたんに、サレンスはレジィからマグカップを奪い取った。
くんとにおいをかぎ、顔をしかめる。
「何するんですか?」
驚いたレジィの抗議をあっさり撥ね付ける。
「お前にはまだ早い」
「意外と過保護だな、あんた」
あきれた体で主人は頬を緩めて笑った。
父の名を聞いて子どもは顔を上げた。
やわらかな青い瞳をした、かわいらしい子どもだった。
10になるか、ならずやというところだろう。
<氷炎の民>特有の髪色はしっかりと被った帽子に阻まれて判別できない。
「えと、はじめまして。お会いできて光栄です。レジィと呼んでください」
「へえ、しつけが行き届いていやがる。にしても、似てねえな」
「こいつはどっちかと言うと母親似だからな」
「だろうなあ。で、レジアスはどうした。元気にしてるのかい?」
「いや、もう二年前になるかな。亡くなったよ」
あっさりと告げられた言葉に主人は一瞬言葉を失った。
「……そ、そうかい、そりゃ、悪かったな。よし、元気を出せよ。坊主。おいちゃんのおごりだ」
どんとレジィの目の前におおきなマグカップがおかれる。
「あ、ありがとうございます」
礼を言いながらもレジィは視線をすばやくサレンスにむける。
彼がかすかに頷いたのを見て取って高椅子に座ろうとするが背が足りない。
すかさずサレンスが腕を伸ばして補助をする。
(おや?)
主人は片眉をあげる。
サレンスの動作があまりにさりげなくて、レジィ自身も手伝われたのに気づいてないようだった。
「いただきます」
おそるおそる両手に捧げ持つようにして口にする様子がかわいらしい。
「甘いです」
とたん紅潮したレジィの頬を見て取ってサレンスが、主人に声を掛ける。
「おい」
「だいじょうぶだ、火炎酒は少ししか入れてない」
彼がそういったとたんに、サレンスはレジィからマグカップを奪い取った。
くんとにおいをかぎ、顔をしかめる。
「何するんですか?」
驚いたレジィの抗議をあっさり撥ね付ける。
「お前にはまだ早い」
「意外と過保護だな、あんた」
あきれた体で主人は頬を緩めて笑った。