王国ファンタジア【氷炎の民】
第6章 大火
<狩猟の民>の狩り小屋に続く山道にも雪が降り積もっている。けっして急峻ではなかったが、10にならずやかの、まして山に慣れていない少年の足には易しくなかった。
息を切らし、汗だくになりながら、前を軽々と行く青年と雪狼の後を懸命に追う。
背負った荷物は必要最低限の必需品だけで、サレンスや雪狼のものよりずっと軽いはずなのに、それが肩にずっしりと食い込む。
しかし、レジィは愚痴を零さなかった。
ドラゴンはすでにあちこちに出没し、甚大な被害を及ぼしているとも聞いていた。先を急がねばならないことはわかっている。サレンスの足手まといになるわけにはいかなかった。
必死に山道を辿るレジィは、前を行くサレンスがちらりと自分を振り返ったことに気がつかない。
レジィの窮状に気づいたか、サレンスは雪狼のセツキに視線を向けた。
それだけで銀の獣は彼の意図を悟った。
軽い動作でレジィの前に戻ると長々と横たわる。
「え?」
戸惑う少年にサレンスが声を掛ける。
「背中に乗って欲しいんだろう」
「でも」
「遠慮するな。セツキはお前がよほど好きなんだろう」
「うおん」
サレンスの言葉に合わせるかのようにセツキが吼える。
「うん、ありがとう」
礼を言いつつセツキの頭をなでると、雪狼はぱたりと大きな尾を振った。
息を切らし、汗だくになりながら、前を軽々と行く青年と雪狼の後を懸命に追う。
背負った荷物は必要最低限の必需品だけで、サレンスや雪狼のものよりずっと軽いはずなのに、それが肩にずっしりと食い込む。
しかし、レジィは愚痴を零さなかった。
ドラゴンはすでにあちこちに出没し、甚大な被害を及ぼしているとも聞いていた。先を急がねばならないことはわかっている。サレンスの足手まといになるわけにはいかなかった。
必死に山道を辿るレジィは、前を行くサレンスがちらりと自分を振り返ったことに気がつかない。
レジィの窮状に気づいたか、サレンスは雪狼のセツキに視線を向けた。
それだけで銀の獣は彼の意図を悟った。
軽い動作でレジィの前に戻ると長々と横たわる。
「え?」
戸惑う少年にサレンスが声を掛ける。
「背中に乗って欲しいんだろう」
「でも」
「遠慮するな。セツキはお前がよほど好きなんだろう」
「うおん」
サレンスの言葉に合わせるかのようにセツキが吼える。
「うん、ありがとう」
礼を言いつつセツキの頭をなでると、雪狼はぱたりと大きな尾を振った。