王国ファンタジア【氷炎の民】
「サレンス様は女の子なら誰でもいいんですか?」
「そんなことはないぞ。可愛くて綺麗だったら、年齢は問わずだ」
「……、それ真面目に言ってます?」
「もちろん、本気だ」
「何だって、そんなに好きなんですか」
「うん? 可愛くて綺麗で甘いにおいがして、一緒にいて楽しいからだ」
「楽しいですか。いつも素っ気無くされてるのに」
「昔はそうでもなかったんだぞ。いつもよく一緒に遊んでいて、あの頃はよかった」
「昔って、いつのことですか」
「成人前だから、7,8年前か? あの頃から急に背が伸びて、女の子の中に混ざれなくなった」
「混ざれなくなったって。何して遊んでたんですか」
「色々してたぞ、おままごととか、人形遊びとか、ああ一番楽しかったのは結婚式ごっこだったか」
「結婚式ごっこ?」
「もてもてだったからな」
「花婿役だったんですか?」
「花嫁役だ。小さい頃は私も可愛かったんだ。女の子たちは花婿役を奪い合っていた」
「……」
「レジアスに見つかったときは、泣いて喜んでいたな」
「それ、単に泣いていただけだと思います」
「何故だ? それは今の私がそれをやったら不気味なだけだが、何度も言うようだがその頃はほんとに可愛かったんだ」
「ひょっとしてサレンス様、女の子が好きじゃなくて、自分が女の子になりたい人だったんですか?」
「馬鹿なことを言うな。私がそんなわけないだろ。女の子になりたいんじゃなくて、女の子に生まれたかった人だ」
「違いがわかりませんが?」
「今更女の子になろうとは思わないが、生まれ変わるなら女の子がいい、と言った違いだ」
「……、サレンス様」
「うん?」
「で、今の話しどこからがほんとでどこからが嘘ですか」
「あー、どこからだろう」
「もう知りません」



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