王国ファンタジア【氷炎の民】
早朝より半日ほど走り続け、すっかりあたりも暗くなったところでサレンスが雪そりを止めた。
「そろそろ野営地を設けるとしよう」
「はい」
後ろに積んだ荷物を漁り出すレジィを尻目に、身軽にそりから降りたサレンスは留め具から雪狼たちを開放する。
「行け」
サレンスの一言で、白銀の毛皮をまとった獣たちはあっという間に走り去る。
狩に行くのだ。
常人が住み得ぬ極寒の地であっても、そこに適応した生き物はいくらもいる。
「ついでに僕たちの分も獲ってくれればいいけど」
「それはまあどうだろうな」
生返事をしながら、サレンスは空中に蒼い視線を向けた。
すっと手を上げると、そこからあわい銀色の光が放たれる。
空中にきらきらと白く光るものが現れる。
それはどんどん増え、やがて形を得る。
氷の家だった。
「うん、よい出来だ」
満足したようにサレンスが頷くと、隣を毛皮の化け物、もとい抱えられるだけの毛皮を抱え込んだレジィが通り抜け、小さいが綺麗な三角錐をした氷の家に入っていく。
一息おいて、サレンスが中に入るとすでに壁にも床にも毛皮が敷き詰められている。
床に敷いた毛皮を整えながら、レジィが言う。
「ほんとサレンス様の力って便利ですよね」
「別に私は大工ではないぞ」
憮然とした表情で返す。
「そろそろ野営地を設けるとしよう」
「はい」
後ろに積んだ荷物を漁り出すレジィを尻目に、身軽にそりから降りたサレンスは留め具から雪狼たちを開放する。
「行け」
サレンスの一言で、白銀の毛皮をまとった獣たちはあっという間に走り去る。
狩に行くのだ。
常人が住み得ぬ極寒の地であっても、そこに適応した生き物はいくらもいる。
「ついでに僕たちの分も獲ってくれればいいけど」
「それはまあどうだろうな」
生返事をしながら、サレンスは空中に蒼い視線を向けた。
すっと手を上げると、そこからあわい銀色の光が放たれる。
空中にきらきらと白く光るものが現れる。
それはどんどん増え、やがて形を得る。
氷の家だった。
「うん、よい出来だ」
満足したようにサレンスが頷くと、隣を毛皮の化け物、もとい抱えられるだけの毛皮を抱え込んだレジィが通り抜け、小さいが綺麗な三角錐をした氷の家に入っていく。
一息おいて、サレンスが中に入るとすでに壁にも床にも毛皮が敷き詰められている。
床に敷いた毛皮を整えながら、レジィが言う。
「ほんとサレンス様の力って便利ですよね」
「別に私は大工ではないぞ」
憮然とした表情で返す。