愛の楔



「何?」

「今日は優斗はいないから、気を付けろよ?」


和也がいるといっても学年が違うから。
本当なら優斗を離さない方がいいのだが、今回は優斗の方が適任なのだ。


俺からすれば今日は学校を休ませたいのだが、昨日から頑張っている美空にそんなことは言えなかった。


「大丈夫だよ、友達とずっと一緒だから」

心配しないで、と美空は言うが、心配なんだ。


「今日は、俺が迎えにいく」

「龍さんが?」

「あぁ、絶対に放課後は学校から出るなよ?」


言い聞かせるように言うと美空は、分かったと頷いた。


「良い子だ」


俺は、美空の頭に手を伸ばして撫でた。
美空は、くすぐったそうに身を捩ったがやがて気持ち良さそうに目を閉じた。


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