愛の楔
「龍様!!!」
スパンッと勢いよく襖が開かれた。
そして、走り込んで来たのは、炯だった。
「炯?」
どうした、と聞く前に炯は焦ったように傍らに膝をついた。
「大変ですよ!」
「?」
「若が探すように言った女です!」
美空?
「見つかったのか?」
案外早かったな、と頬を緩ませるのも一瞬。
「ヤバいですよ?!」
仮にも裏の人間なのにも関わらず、炯は顔を真っ青に慌てている。
俺は、上半身を起こして、とりあえず炯に一発拳を入れた。
「っ!?」
「落ち着け」