愛の楔
「何故、今回はすんなり分かった?」
「初めは、いくら探しても見つかりませんでしたが………ホステスの件。あれも奴等でした」
「………内通者を見つけたのか?」
「いいえ、………内通者は居ませんでした」
組員全員を調べました、と炯は内通者が居なかったことに安心しながらも、何故、情報が漏れたのか分からず先ほど暴れたらしい。
「そうだったのか」
こんな短時間でその作業をした炯に俺は勲章を贈りたくなった。
炯がいるからこそこうやって事は進んでいく。
「はい。今回は本当に僅かでしたが侵入の跡を見つけられたので、わかったんです」
敵がミスをしたのかは分からない。しかし、敵の正体は分かった。
「………炯、皆を集めろ」
「はい」
「すぐには動かない方がいい………罠にかけられたんだ。こっちも罠をしかけるぞ」