愛の楔



俺の言葉に炯は気を引き締めると、無言で頷き一礼すると足早に部屋を出ていく。


未だ散らかっている室内で居住まいを正しながら俺はどこかを見るわけでもなく淡々と口を開いた。


「いつまで盗み聞きしてるつもりだ、澪」

「盗み聞きって酷いよ」


すっと天井から降りてきた澪に俺は溜め息をついた。
どうして天井から………普通に現れないのか。


澪は、ニコニコと笑いながら俺の前に座った。


「炯が暴れてるの面白かったよー」

「何時から居たんだ」

「女の子が帰ってきてから」


ずっとここに居たと嫌に楽しそうに澪は俺に報告する。
この表情の時は、何かを企んでるときの顔だ。


「………澪」

「学校って意外と楽しいね」


胡座をかいてぐらぐら揺れながら澪は話す。


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