愛の楔
「………澪、お前何のために学校に行ってる」
「女の子の護衛ー」
「そうだ。そのために学校を許可したはずだ」
だのに、今日美空は拐われて怪我をして帰ってきた。
俺は、殺気を隠しもしないで澪を睨むが澪は怯えるそぶりすら見せず笑みも絶やさない。
「だって俺は、認めてないもん」
「何だと?」
「あの子が若の隣にいるの」
確かに護衛として学校に行ってるけど、認めてない奴は守れないもん。
そうそっぽを向く澪。
「どこが、気に入らない?」
組員の殆どが美空を認め、お嬢と呼ぶ。怖いと恐れられるあいつらに優しく接してくれている。
そして、何より俺を救ってくれたんだ。
どうして気に入らない?
「どこがって………全部」
普段はしない感情を消した表情で澪は言った。