愛の楔
見事に入った俺の拳に炯は我に返ったのかケホケホ咳をした後、冷静に戻る。
「………失礼しました」
ケホッとまだ痛そうだが心配なんかしない。
「で?美空はどこに?」
「それが………」
炯は言いにくそうに一枚の紙切れを俺に渡した。
何だ?言えないことか?
もしかして、ほかの組の娘だったとか……それは有り得ないか。
俺は、紙切れに目を通して見開いた。
「………その子の親、東組からかなりの金、借りて………その子置いて逃げたらしいんです」
その言葉を聞くなり俺は毛布を払いのけ立ち上がる。