愛の楔
「澪、なに……」
何をするんだ、と言い切る前に、澪は東組組長の死体を担いだ。
「長い話になるからさ、片付けてからにしようよ」
その子は病院に連れていくなり、屋敷戻るなりしてさ
澪の話も最もだ。
俺は、ぐったりしている美空を見下ろし、頷いた。
そして背後にいる炯を呼ぶ。
「はい」
「帰るぞ」
「病院に……?」
「………そうだな」
左手の治療もある。病院に連れていった方が良いだろう。
「山じぃの病院に」
「分かりました。」
「他のやつらは後片付けだ」
そこらへんに血が散らばっている。
そのままにしておくのは、少しばかり危険だ。
炯は頷くと、他の連中に指示を出す。
俺は、美空の背中と膝裏に手を回して、そのまま抱き上げた。