愛の楔



しかし、いずれは知ることになる。


「お前の両親は、今、」

「もしかして、死んじゃった?」

「!」


目を見開く俺にやっぱり、と美空は、眉を下げた。


「何時も言ってたんだ……もしかしたら明日、いないかもしれない」


それは、毎日学校に行く度に言われていたことで。真剣な顔で言うから本当なのだろうと思って、心の準備はしていた。
しているつもりだが、いざその場面になったらきっとあたしは取り乱すだろう、そう確信していた。


「そっかぁ………二人はもういないのか………」


美空は、空を見上げた。
見送った記憶は合ってほしかったなぁ………


つうっと美空の瞼から涙が溢れた。


「不思議………親が死んでるのに意外と冷静でいられてる」


人伝に聞いたからかな?それとも実際に泣いて泣いて、耐性がついたのだろうか。頭が忘れても体が覚えている。


「………そんなわけない」

「え?」


俺は、空を見上げている美空を引き寄せ抱き締めた。


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