愛の楔
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俺は、一つの部屋の前にいた。
人が一気に10人くらい入れそうな巨大な襖にはきれいな華が描かれている。そして、上の方には、虎の絵。
じっと虎を見た後、襖を開ける。
中には、俺がくるのを待ってましたと言わんばかりに座布団に座り煙草を吸っている親父の姿があった。
「おぉ、来たか」
「………」
俺は、襖を閉めて、親父の前に座る。といっても親父の座る場所からはかなりの距離がある。
親父は、ニヤリと笑うと煙草を灰皿に押し付ける。
「さて、聞かせてもらおうか」
「………美空は、今日からここに住まわせる」
ピクリと親父の眉が動いた。