愛の楔



実はこの2日間は仕事で殆ど外にいたのだ。帰ってくるのも夜中だったりしたので直接美空と会話をしていなかった。


すると、男は、なんとも言えない顔をした。


「いえ、すっかりお嬢は元気になられたんですが……」

「どうした」

「それが………」


男が言い澱む。
なんだ、俺に言えないことなのか。
俺は、眉間に皺を寄せた。


「何だ」


早く言えと圧力をかけると、男が口を開き、言葉を出す寸前に、玄関が突然開いた。


「!」

「龍さん!おかえり!」


バンッと扉を開いた美空がとたとたと走ってきて俺に抱きついた。


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